蘇を再現してみました。ナオコさんが日本古代の乳製品作りに挑戦

〔ナオコさん〕『日本のチーズのルーツとも言われています古代の乳製品「蘇(そ)」を再現してみました。その前に…..』

「蘇」の時代背景などを簡単にご紹介

「蘇」とは、7世紀末から10世紀(飛鳥時代から平安時代)にかけて、日本でつくられていた乳製品です。

その贅沢な味わいや高い保存性、栄養価にも大変優れた「蘇」は、朝廷への献上品(税)として諸国でつくられるようになります。

朝廷の貴族や高級官人の間では、滋養強壮の薬として服されたり、正月行事などの宴席で振る舞われたり、仏教行事では供物としても用いられていた「蘇」。

当時は、庶民の口には入らないとても贅沢な珍味であり、貴重な乳製品の中でも特に高級で貴重だったようです。

そもそも「蘇」って何でしょう?そして、その製法は?

一部の古文書にその記載が残されていますので蘇は当時確実に存在していたと考えられますが、その後の長い歴史で蘇の存在は忘れ去られていたこともあり、本来の製法や乳製品としての分類(チーズ、バター、濃縮乳など)に関しては不明な部分も多く、学者の間でも意見が分かれているようです。

そして、現在主流の蘇のレシピは、平安時代の日本の古文書「延喜式」に記述されている「生乳1斗(18L)を煮詰めると1升(1.8L)の蘇が得られる」の一文を手掛かりに研究や推測をして作られているようです。

ある見解では、当時、常温で数ヶ月以上の保存を可能にしたといわれる「蘇」。

その為には、牛乳を14%にまで加熱濃縮させ(加熱濃縮では14%までが限界との事)、その後陶器の壺で移送、保存することで更なる乾燥が可能になり、約4ヶ月間保存可能な「蘇」がつくれたのではないかという研究結果もありました。
(日本家政学会誌 『「延喜式」に基づく古代乳製品蘇の再現実験とその保存性』斎藤瑠美子.勝田哲子 より参照)

「14%まで濃縮する」とは、例えば、牛乳1Lは、約1050g ですので、つまり、(14%の)147g にまで煮詰めるということ。

〔ナオコさん〕『せっかくですので試してみるのですが、私にはいつも160g 弱が限界のようです。
でも、今回もこの研究結果に近付けるよう、楽しみながら、なるべく煮詰めてみたいと思います。結果はいかに?!』

10秒で分かる「蘇」の材料と作り方

牛乳を焦がさぬようじっくり煮詰め、一つの塊になりましたら、完成。
冷やして、スライスして、召し上がれ。

詳細がよく分かるコメント付き「蘇」の材料と作り方、お味や特徴もご紹介

(材料)・牛乳 1L
(道具)・フライパン ・へら

・フライパンは、他にお鍋やホットプレートなど、牛乳を煮詰められるものであればどちらでも構いませんが、テフロン加工等の焦げ付きにくい素材のものを使ってください。
なるべく深さのあるものの方が、こぼれにくいのでベストです。
浅いものしかない場合は、少量の牛乳でトライするか、注ぎ足しながらやってくださいね。

・ヘラは、焦げ付きを防ぎやすい、先端がなるべく平らなものがおすすめです。

今回は、約1時間半かけまして、出来るだけ水分を抜いた蘇を作ります。
(半量の牛乳で作る場合は、時間も半分で大丈夫です)

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では先ず、1Lの牛乳をフライパンに注ぎます。

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強めの中火にかけ、ヘラで、ゆっくり混ぜ始めます。手は止めないこと、焦がさないことを意識します。

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沸いてきましたら、火加減を弱めの中火にし、混ぜ続けます。手は止めないこと。

〔ナオコさん〕『手を止めたい時は、必ず、火も止めてくださいね。火をかけたままですと、少しのすきに焦げ付きます。私、何回焦がしたでしょうか(笑)』

あとこれは、どなたかの記事を見て参考にしましたら、とても「蘇」作りが楽になり、それ以来焦がさなくもなったという小技(笑)なのですが、

ガス台の前に椅子を置いて座り、ガス台横の台に肘を付き、力を入れずに手首だけでクルクルと混ぜるやり方です。

〔ナオコさん〕
『お行儀が悪いと言われそうですが、もはや私の「蘇」作りには欠かせません。

肘を付いていますので、腕が痛くなることが全くないのです。楽〜。
そして、かなり煮詰まってきて、初めて立ち上がります(笑)』

どなた様の記事か分からないのですが、大変参考になりました。
ありがとうございました。

〔ナオコさん〕『ただし、目の前がフライパンになりますので、くれぐれもフライパンを倒さないように!!手首から肘まではなるべく衣類がないこと!!居眠り厳禁!!を気を付けていただきたいです。』

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そうこうしているうちに、常にフライパンの縁にこびり付きも出来てきますので、こまめに削り落としてください。
焦げていなければ、混ぜるも良し、食べるも良し、です(笑)

1時間くらいまでは、一見フライパンの中の状況は変わりませんが、でも確実に量は減り、色は黄色味を帯びた濃いアイボリーになってきます。

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さらに10分程経過。火加減をそろそろ弱火にして、そしてそろそろ椅子から立ち上がり(笑)さらに混ぜ続けます。

この時甘〜い匂いに誘われて、もう耐えられずに味見をしますと、お、お、美味しい〜!
まさに、甘〜い贅沢スペシャルホットミルクスープの完成です。
正直、ここをゴールにしても構わないです(笑)

そして、もう10分程経った頃でしょうか、様子がぐっと変わってきます。
まるでホワイトソースや濃いクリームのように見えます。
手はより忙しくなってきます。

さらに煮詰まってきて、今度はカスタードクリームのようになってきます。すご〜い。

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焦げないように必死に混ぜ続け、一つにまとめていきます。がんばれ〜。

慣れない頃はどうなるかと思ってしまいますが、気付けば、ちゃ~んと、一つにまとまってくれるのです。嬉しい〜。

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そして、火を止めるタイミングですが、それはもうお好みです。当時を再現することは、一旦忘れましょう(笑)

柔らかめがお好きでしたら早めに止めてください。(仕上がり170g以上)

硬めがお好きでしたら、もしくは、いにしえに近付きたいようでしたら、なるべく水分を抜きますので、焦がさないようにとことんぎりぎりまで加熱してください。(仕上がり160g〜出来るものなら(笑)147g)

ちなみに私は、中間の、仕上がり160〜165gが好みです。(上記最後の写真で、168gくらい状態)

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火を止めましたら、ラップに包み成形します。「蘇」が可愛く感じる瞬間です〜。よしよし。

仕上がりは、ラップ2gをマイナスしますので、今回は158gで完成いたしました。
再現にはまだ遠かったですが、とても嬉しい〜。今回も満足感。

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ラップで成形したものは、冷蔵庫で数時間冷やし(冷やすと締まります)、食べる時にスライスしてください。

よく冷やしますと、食感の中に、シャリシャリとした独特の感覚が感じられ、それがとても小気味いいです。

そして肝心のお味ですが、とにかくぎゅぎゅーっと濃縮してありますので、ミルクのコクの中に、乳糖の自然の甘みが感じられます。

煮詰めていた時の味見では感じられなかった、ほのかな塩味も不思議とあらわれてきます。

出来立てのまだホカホカのものと、冷やしたものとでも、またぐっと印象が違います。

甘さは、温かい状態の方が感じられますね。

チーズというよりも、濃縮乳のとてもとても素朴な優しい味わいのスイーツといった印象です。

数年前に初めて「蘇」を作り食べた時、これに砂糖を加えて甘さを足し、もっと乾燥させたなら、間違いなく山形県発祥の「ミルクケーキ」が出来上がるな〜と思ったことをとても覚えています。

ちなみに、当時の「蘇」はもっと乾燥させてあった可能性もありますので、食べる頃には、おろして粉に出来るくらい硬い状態だった可能性もありますね。

でも答えは、はるか彼方。ここから先は、個人の想像力に委ねるところです。ん〜、ロマン!

〔ナオコさん〕『ちなみに奈良県で製造販売されている特産品【飛鳥の蘇】(蘇復活の元祖)や【古代の蘇】【天平の蘇】は色がこげ茶色ですが、それは数時間〜8時間程かけて煮詰めてあるからです。

ある程度の弱過ぎない火力で長時間火にかけることでメイラード反応が起こり、濃い茶色になるのです。

当時の「蘇」がどれほどの時間をかけて造られていたかは分かりませんが、2時間以内で作る私の「蘇」と、8時間近くかけて造られる「蘇」では、お味や食感は全然違うようですので、興味ある方はどちらも試してみてはいかがでしょうか?』

実際に手作りをしてみますと、いにしえの頃、「蘇」がいかに贅沢品だったかがとてもよく分かりますね。

1300年前の当時に想いを馳せながら、悠久の時間の流れの如く、ゆったりと時間をかけて味わいながら作るのも、なかなか良いものですよ〜。

追記 新型コロナウイルスの影響を受け、「蘇」が話題です!

2020年 4月

新型コロナウイルスの影響で、学校給食用の牛乳が大量に余り、打撃を受ける酪農家さん達の為、先月から、ハッシュタグ「#牛乳大量消費レシピ」「#酪農家さん応援 」等がSNSで色々と投稿されています。

その中で、1300年の時を超え「蘇」が大きく取り上げられ、とても話題になりましたね。「#蘇 」「#蘇チャレンジ」

今月に入り外出自粛がさらに強化され、自宅で過ごす時間が長くなった方がとても多いかと思います。

時間をかけて、そして牛乳も大量に消費出来る「蘇」。

一見効率も悪い、とてもアナログな「蘇」作りですが、時間も牛乳もたっぷりある今だからこそ、楽しみながら作ってみるのも良いのではないでしょうか?

しかもこのスイーツ、お子さまにとても好評なんですよ〜。

牛乳をたっぷり消費することで酪農家さんの応援も出来て、楽しみながらゆっくり作れて、栄養価も満点(牛乳の栄養を損なうことなく、消化吸収はより良くなっているそうです)、そしてお子さまにも大好評の「蘇」。

やはり、一度作ってみませんか〜。

コメント

  1. あやあや より:

    今度時間があったら是非作ってみたい

    • サイトウナオコ より:

      あやあやさん

      は〜い☺️是非試してみて下さい
      作る時のポイントは、手を止めない事かな。
      急がずコツコツのんび〜りと、古代日本に思いを馳せながら楽しんで下さいませ✨

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